LESSON 1-1
なぜ「バージョン管理」
が必要?
「最終版」「最終版_修正2」「本当の最終」。ファイル名がどんどん長くなった経験はありませんか。このレッスンでは、その困りごとを解決する「バージョン管理」の考え方を学びます。難しい操作は出てきません。読むだけで大丈夫です。
このレッスンでわかること
- ファイルの「コピーを増やす管理」で、どんな困りごとが起きるのか
- 「バージョン管理」が何をしてくれる仕組みなのか
- 「いつ・誰が・何を」変えたかが残ると、なぜ安心なのか
まず言葉の意味からバージョン管理は
「訂正履歴つきの書類管理」
バージョン管理(version control)は、ファイルの変更を、順番に記録しておく仕組みのことです。「バージョン」は、日本語で「版」という意味です。
経理の仕事でいえば、帳簿を直すときに、元の数字を消さずに「訂正仕訳」を残すのと似ています。あとから「いつ、誰が、なぜ直したのか」を追いかけられます。稟議書の「改訂履歴」の欄をイメージしてもよいでしょう。
手順3つのステップで理解します
01
こんな経験はありませんか?
共有フォルダの中を、のぞいてみましょう。次の図は、よくある風景の一例です。ファイル名はすべて架空のものです。
共有フォルダ(図)
1keiri-manual_最終版.xlsx
keiri-manual_最終版_修正2.xlsx
keiri-manual_最終版_修正2_確認済み.xlsx
2keiri-manual_本当の最終.xlsx
3keiri-manual_本当の最終_コピー.xlsx
- 1「最終版」:最後のはずなのに、直しが入って、最後ではなくなります。
- 2「本当の最終」:どれが本当に最新なのか、名前だけでは判断できません。
- 3「コピー」:誰かが念のため複製したものです。中身が違うのか同じなのか、開いてみるまでわかりません。
ここだけ注意古いファイルを間違えて使うと、金額や日付の誤りにつながります。経理の仕事では、とくに避けたい事故です。
02
コピーで管理すると、何が困る?
ファイルを複製して名前を変える方法には、次のような困りごとがあります。
- どれが最新かわからない。名前の付け方は、人によって違います。
- 誰が、いつ、何を直したかわからない。ファイルを開いて、1つずつ見比べることになります。
- 前の状態に戻したいとき、探すのが大変。途中の版を消してしまっていると、戻せません。
- 同じ日に2人が直すと、片方の修正が消える。あとから保存した人のファイルで、上書きされてしまいます。
バージョン管理は、これらをまとめて解決する仕組みです。次の図で、イメージの違いを見てください。
(ファイルがどんどん増える)
(ファイルは1つ+履歴)
03
「記録」を順番に残していく
バージョン管理では、ファイルを直すたびに「記録」を1つ残します。記録には、いつ・誰が・何を直したかが一緒に入ります。次の図は、そのイメージです。人の名前は、架空の呼び名です。
- 14月1日担当A初版を作成
- 4月8日担当B金額を修正
- 4月15日担当A注意書きを追加
- 1ひとつ分の記録:日付、担当者、直した内容がセットで残ります。
この記録が積み重なるので、「4月8日の状態に戻したい」といったことも、あとからできます。ファイルを何枚もコピーしておく必要はありません。
用語メモ:履歴(りれき)記録が時間順に並んだものです。経理でいえば、帳簿の訂正履歴や、監査のときに見る「証跡(しょうせき)」にあたります。次のレッスンから、この記録を作る仕組みの名前(Git)が出てきます。
まとめ
- ファイルをコピーして管理すると、どれが最新かわからなくなる
- バージョン管理は、変更を順番に記録して残す仕組み
- 記録には「いつ・誰が・何を」が入るので、あとから確認でき、前の状態にも戻せる
※ 図は、わかりやすくするために簡略化したものです。実際の画面とは細部が異なる場合があります。